2005-06-18

豊田市美術館

豊田市美術館

愛知県豊田市
豊田市美術館
谷口吉生:設計

 豊田市街地から少しだけ離れた小高い丘の緑の中にひっそりとたたずむ美術館。竣工は1995年。主に近代・現代美術を中心に企画展を行う。中から外まで建築系雑誌で撮影・紹介されているので詳細はそちらを参照してください。
 オープン当初、企画された展覧会に興味を持ち、建築は二の次で訪れた、建築に多少興味を持っていた当時の私を圧倒した美術館。その後、修士論文でも取り上げるほど気に入っている建物の1つ。特に興味を持ったのは谷口吉生が“器”と表現する、その建築性。
 樹々をぬけるアプローチから現前するそのファサードは周囲の緑に溶け込むくらい落ち着いた雰囲気。乾式で張られた床スレートの乾いた足音に少しの場所の変質を感じつつ入館。展示空間は企画展用の大空間のほかに常設用の小・中空間に分かれる。この中空間が特に面白い。階段や回廊とその開口から、立つ位置を変えて作品をまなざすことのできる展示空間。さらに、移動とともに次の、そして通り過ぎた展示室をまなざすことができる連続性。展示作品を楽しむのに十分な空間性。
 美術館建築として自己主張しすぎずに、展示作品を見るための様々な工夫を楽しめる美術館です。名古屋からの公共交通がそれほど便利でないのが難点といえば難点。

富弘美術館

富弘美術館

群馬県勢多郡東村
富弘美術館
ヨコミゾ マコト:設計

 風景の中に溶け込んでしまいそうなくらい、薄く、目立たない建物。もちろん内部は撮影不可。何かと話題の建物。中から外まで建築系雑誌で撮影・紹介されているので詳細はそちらを参照してください。
 愛知県から8hほどかけて到着したが、疲労を吹き飛ばすくらいにワクワクしながら入館。訪問を動機付けたのは、GA JAPAN 74 に掲載の内部空間の連続性について言及された文章。読んでない人は読んでみてください。私はこの連続性という言葉に弱い。
 では、連続性ということに絞って、私の感想。
 展示室は各室で多少の仕上の変更、テーマ室では全く仕上げを変更している為、仕上による連続性は必ずしも感じるわけではない。しかしながら歩いてみると次室への移動がとてもスムーズ。その要因は、円形壁面に設けられた諸室間の出入口=開口部分だけにしかない壁面のエンド、円形の重なりを利用したW-30mmと薄い開口部の見付け面、かもしれない。諸室の境界がとても薄く、円形壁面の連続性を損ない難くしているのではないだろうか。ま、開口部を通してみることのできる諸室の眺めが大きな要因の1つであることは言うまでもない。
 歩きまわって、純粋に感じたのは、滑らかな空間・水のような空間。水彩画とか、水泡のような窓だからではなく、歩きまわる私が、展示空間になじむような錯覚を起こしかけたから。
 星野富弘さんの美術館としてふさわしいものだな、と素直に感じましたよ。

2005-06-17

愛・地球博~その他

ハリボテ

愛・地球博~EXPO 2005 AICHI JAPAN
クロアチア館
ポーランド館
チェコ館
オーストラリア館

 表層的なデザインを楽しんでいる建物達。
 グローバル・コモンでは、既に用意されたパビリオンという器に化粧をすることで自国の個性を表現している。環境博ということもあってか、それほど目を惹くような建物は少なく、展示内容さえも省エネ化かイマイチなところがある。その中でも万博で私の目を惹いたパビリオンを4つ掲載。昼と夜とでだいぶ雰囲気が変わるオーストラリア館には1本取られました。

エコ


愛・地球博~EXPO 2005 AICHI JAPAN
三井・東芝館
バイオラング

 省エネ技術を発揮している壁。
 左の三井・東芝間のルーバーは日照方位に合わせて、各方位の壁面に上部から水を流し落とすことで、外気の熱射取得を軽減。バイオラングは壁面緑化による省エネ化はもちろんのこと、里山植物を配することで、里山風景を表現している。前述のグローバル・コモン・パビリオンより環境問題に向けてより積極的に技術提起をしている。
 愛・地球博でアピールされた技術が日本のみならず世界のどこかで活かされ、愛・地球博の開催意義が確認できたらいいなと思わずにはいられない。

2005-06-16

愛・地球博~長久手日本館

長久手日本館

愛・地球博~EXPO 2005 AICHI JAPAN
長久手日本館
国土交通省 中部地方整備局 営繕部:企画調整・監理
日本設計:設計

 竹蓑で覆ったような外観の建物。
 環境負荷を軽減しようとする技術的なアイデアのつめられた建物。ま、そういったことは建築系雑誌にて詳細が紹介されているので、そちらを参照してください。
 1時間半の待ち時間、ゆっくりと見学。竹と構造用合板、丸太材が露出しているため、ハリボテ感満載の建物。通路は竹蓑外部から、内部へとつながり展示建物へと導入する。竹蓑内部の壁面緑化は暑い外気に多少の清涼感を与え、そこそこに気持ちよい。
 内部のほとんどが撮影不可のため写真はないが、展示室内部がなかなか興味深い。特に地球環境への付加に関する危機を表現したゾーン1。画像や映像だけの視覚的なアピールだけではなく、斜めに傾いた中空ブリッジの通路による不安定感、耳障りな高音による不快感によって、危機感を身体的に経験させようとしている。
 また、目玉の360°スクリーンはこの万博の中で一番面白いと思われるので、一見の価値アリ。

2005-06-15

愛・地球博~グローバル・ループ

グローバル・ループ

愛・地球博~EXPO 2005 AICHI JAPAN
グローバル・ループ
菊竹清訓建築設計事務所 環境システム研究設計共同体:設計

 長久手会場の主要動線。
 全長約2.6km、標準幅約21mの回廊。既存地形を生かして配置したとのこと。詳細は建築系雑誌にて紹介されているので、そちらを参照してください。
 多少の傾斜はあるもののほぼ平坦なグローバルループ。キョロキョロと忙しいため2.6kmはさほど気にならない。21mもの幅に沢山の人が歩いているため、視覚的な距離感があまりないからかもしれない。また、デッキ仕上による乾いた足音も歩くことに軽快感を与えているのかもしれない。
 歩きながら地形を確認することはほとんどなく、ループの下か、会場を南北に繋げるゴンドラから見ると、地形を生かしているのが良く分かる(元の青少年公園時代に何度か訪れたおかげもある)。夜になると照明効果によってループが浮かび上がり、幻想的な風景も提供してくれる。
 結構な構造体だけど、以外に地味に見えるのは不思議なものだ。

2005-06-14

セロシアと回廊

愛・地球博~EXPO 2005 AICHI JAPAN
スペイン館
foa:設計

 万博パビリオンの中で一番派手な建物。
 スペインという国を積極的に紹介しているパビリオン。なお、コンセプトなど詳細は建築系雑誌にて紹介されているので、そちらを参照してください。
 “セロシア”の幾何学パターンは、スペイン館のポスターや公式HPにて頻繁にみかけるため、素晴らしい象徴性といえる。また、セロシアの穴の所々で「登るな!」とアピールしているサインもカワイイ。内側は回廊となっていて、スペイン国内で用いられている言語や方言を紹介。多様な文化を感じさせてくれる。

展示

 内部は大空間「プラザ」を中心に5つの展示空間「チャペル」に別れ、それぞれにテーマを与えられ展示されている。基本形態はどの部屋もほぼ同じなのだが、展示内容ごとに照明や色彩を変え、全体的に色彩豊かな構成となっていることから、スペインの多様性を積極的に感じさせられ、なにやら楽しい気分になってくる。また、セロシアパターンの制服を見かけるたびにスペイン館の内部ということを再認識させられるあたりも手が込んでいる。不覚にも、外に出るときには「またスペインに行きたいなぁ~」と思ってしまいました。
 さすが次回万博の開催国といった感じですな。

2005-06-09

豊田市美術館。

豊田市美術館・アルテポヴェーラ。
 帰郷の際に、私が必ずといっていいほど訪れる豊田市美術館。1995年の竣工以来、お世話になってます。この日に行われていたのは ARTE POVERA~貧しい芸術~展。
 竣工時に見学し、建築ってすげーなと初めて思わされた建物。そして、1997年に行われたARTE POVERA展をかなり楽しんだ過去もあって、今回もかなり楽しみにして訪問。で、十分満足しました。
 私のプロフに名前のある“ジュゼッペ・ペノーネ”はこの芸術派作家の一人。初めて出会う作品はなかったものの、やっぱイイ。その他にも初めて知った “ジョヴァンニ・アンセルモ”もなかなかイイ。共通しているのは素材感を生かしつつ変質させ、運動性や社会性を付加するるあたりかな?感じるままに楽しめる作家だろうな。。
 それにしてもイイ美術館。作品のある空間を楽しめるようにいろんな仕掛けがなされている展示空間、刺激のある展示内容を提供する運営。近くにお越しの際は出かけてみたらいかが?

2005-06-08

富弘美術館。

富弘美術館と作品。
 万博から帰宅後、3時間ほど仮眠。雑誌などで興味をもった富弘美術館(2005年竣工)のある群馬県に向けて出発。奥様と必死な思いで運転しながら到着。展示作品・星野富弘さんの詩画を鑑賞。
 星野富弘さんは教員時代に頸髄を損傷し、口に筆をくわえて字や絵を書いているそう。母親や身近な人、自然などをモチーフに、水彩を描き詩を添える。心にしみこむ詩画を前に、オバちゃんたちが涙している。セツナク+アタタカイ展示空間となっていた。
 水彩画ということや、星野富弘さんの人柄からか、水を感じさせ、控えめな、優しい感じの建物で、展示内容とマッチした雰囲気を持っている。設計競技で選定された案なのだが、設計者も選定者もすばらしい仕事をしたなと思わず関心してしまいました。
 ちなみに05/07/15~05/08/07には、沖縄県・浦添美術館で、星野富弘展(企画展)を行っている。なんだか縁のある作品ですな。

2005-06-07

愛・地球博~EXPO 2005 AICHI JAPAN。

北エントランスとトヨタ館&人込み。
 いや~やってきました愛・地球博です。上写真は会場前の北エントランスの人込みとトヨタ館。人いっぱいですな。
 この日はAM6:00に家を出発、愛知環状鉄道八草駅周辺に駐車、リニモに乗換え、AM7:30に北エントランスに到着。AM9:00の開場まで警備員の兄ちゃん達の準備や説明を眺めつつ&万博ガイドブックにて予習をしつつ、マッタリ。
 で、開場と同時に本気で走ってる人達への警備員の“走らないで下さい!怒”を横目に小走り、トヨタ館に到着。結構前列だったのだけど、開場全体が楽しめるように工夫された会場づくりのため観覧席はどこでも良かったかも。が、内容自体がいまいちな感あり。期待し過ぎたかな??この後に観た長久手日本館の展示や360°スクリーンの方が楽しめる。ま、2時間ぐらい待たされたけどね。

各国のイベント。
 中心パビリオンを観覧した時点でPM0:00なため、韓国&中華麺にて昼食の後、各国パビリオンの見学。あまり混雑してなかったためマッタリ目で進行。パビリオンの外観や内容はほどほどに楽しめるといった程度だけど、そのパビリオン付近で行われている各国のイベントは面白い。上写真はその様子。
 ちなみに左上から、オーストリア館;民族音楽、グローバルコモン1;インド舞踊、オーストラリア館;サメ?のいたずら、最後にまたオーストリア館;環境シンポジウム(ストローベールハウスの部分だけ聴講)。特に、オーストラリアのサメ?のいたずらは笑える。不用意に近付くと囲まれて歌を歌われたりと中々離れないしつこさ。
 その後マンモスを観たりしたけど特に感想はなかったッス。

夜景。
 万博の建物は環境共生と仮設が前提となっているため、昼間はどうしてもハリボテ感があるのだが、夜になるとその様相は一変する。ただLEDを利用した省エネ蛍(左上写真)、北エントランスを演出する照明(左下)。モリゾーまでが哀愁を帯びる始末(右)。巧妙にしくまれた光による変質によって、やっと万博の華やかさが現前するのかもしれない。
 万博は昼から夜まで飽きさせず、会場の外に一歩踏み出す時には「もう一度、遊びに来たいな」と思わせられちまいました。体力的には限界点に達するけどね。
 各国の料理最高!!ビールも最高!!腹も限界点に到達。

2005-06-06

アレグリア2だ。

アレグリア2。
 でもって、6/6はアレグリア2を鑑賞しに、愛知・稲沢へ。
 奥様の強い要望で訪れたアレグリア2。いや~すごいのなんのって、アレグリア2。ヤリマスナ。すさまじい技術力と芸術性という感じの生演奏に生演技。何回息を呑まされ、何回身体を硬直させられたか。華やかな衣装と演奏、演技。とても楽しい&疲れる時間でした。
 で、その後、名古屋に戻って大学時代の同級生たちとワイワイ。過ぎ去った過去を取り戻しつつ、時間の経過を肴に飲酒。またも楽しい一時を過ごしつつ帰宅。夢心地のまま就寝と相成りました。

2005-06-05

久しぶりの名古屋。

名古屋の街。
 久々の帰郷です。1年半振りかな?上写真は久方ぶりにぶらついた名古屋の街。
 愛知に到着したのは6/4。新しく開港したセントレア空港。久しぶりの人ごみに圧倒されながら、地元の特産店を始め様々な店舗に心躍らせ、前日のワールドカップ予選を観戦しながらの飲酒と飛行機酔いに胃も踊りつつ始まった、今回の帰郷。
 6/5は、名古屋の街。1年半のブランクと万博効果によって、ずいぶん街が変わった気がする。名古屋城の金シャチが地上に、アップルストアと観覧車が名古屋に降り立っていた。モチロン全部体験。金シャチに触り興奮を、Macに触り購買意欲を、観覧車から眺め笑止を、駆り立てられる。いろいろと換わったモノがあったけれども、聞こえてくる尾張・三河弁に“あぁ帰ってきたな”としみじみ思っちまいました。
 さらに、足が棒になるかと思うくらい買い物しながら街を散策。シメは名古屋テレビ塔の夜景。変わらない風景にホッと一息の上、実家に帰宅。楽しい初日を満喫ナリ。